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今回から、演出・企画を担当する飯田茂さんにお話をうかがいます。のり平アニメの大ファンという飯田さん。まずは、のり平アニメの演出にたずさわるようになったきっかけから。
私はTVCMの実写の演出をしていて、桃屋さんでも「五目寿司のたね」「花らっきょう」「キムチの素」などの演出を担当していました。「のり平アニメ」は、子どものころから大ファンでしたから、実写の演出をしながらも、いつかはアニメにも関わりたいなぁと、密かに熱い思いを抱いていました。
CM案を会議で検討する際、同じ商品ならば実写案とアニメ案の打ち合わせをいっしょに行います。最初に実写案の企画を検討し、打ち合わせが終わると、「じゃ、飯田さんおつかれさま」と、読広の小林宏さんとアニメ演出の鳥居宥之さんたちで「のり平アニメ」案の打ち合わせがはじまります。私はこれに加わりたくて後ろ髪引かれる思いでいつも会議室を後にしていたのです。
桃屋さんの実写CMの演出をして10年ほどたったころ、いつものようにおつかれさまと言われたときに、「実は・・・」と頼まれてもいない「のり平アニメ」の企画コンテを何案か出しました。これがきっかけで会議室に残るようになりました。
アニメキャラクターの「のり平」は、もともと三木のり平さん自身の自画像が下敷きになっていますが、その当時このキャラクターを描けるのは小林さんと鳥居さんだけでした。プレゼンの絵コンテはおふたりのどちらかが描いていました。「のり平アニメ」のチームにもっとどっぷりと漬かりたくて、私はおふたりからコピーをもらい、それを手本に来る日も来る日も「のり平」を描く練習をしました。そしていつしか私にも絵コンテの依頼が来るようになりました。うれしかったですね。このアニメ博物館のキャラクターも私が描いています。見るたびに「ああ、描き直したい」という衝動にかられます。でも、「あれがかわいい」なんて声を聞くと、心の底からうれしくなります。のり平アニメファンだからこそ、私は大事に描いて行きたいと思っています。
飯田茂(いいだしげる)
1951年 東京八王子生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。マッッキャン・エリクソン博報堂に10年間勤務、退職後フリーの企画演出。
※本インタビューは、2004年3月16日に収録したものです。