演出・企画 飯田茂

座談の名手、三木のり平さん

演出・企画 飯田茂

私が三木のり平さんの録音現場に立ち会ったのは、のり平さん晩年のことで、1997年の花らっきょう「昔から…篇」が最初でした。あの憧れの大スターと同じ空間を共にすると考えただけで、ワクワクしました。

その日、マネージャーの方から「4時ごろ行きます」と連絡があり、その1時間前に小林宏さん、鳥居宥之さん、読売広告社の営業、制作プロダクションのスタッフが録音室に集合しました。簡単なミーティングをした後、営業の人「そろそろ入り口までお迎えに行きます」とのこと。私以外は、もう何十回と同じ現場で経験しているのでしょうけれど、私はもういらっしゃるのではないかと、そわそわしていました。やがて、4時になり5時に。もしかして、何かあったのではと心配していると、小林さんは「いつものことですから」と微笑むばかり。

さて、すでに1時間も押しているのですが、のり平さんはリラックスしながらおしゃべりをはじめます。世間話から芝居のウンチク、言葉の語源など、何を聞いても楽しくて、私は思わず何度もうなずきました。小林さんも、「ほぉ~そうですか」「いやあ、知らなかったなぁ」「なるほど」と感心しきり。

「さあ、そろそろやろうか」とのり平さんが、立ち上がったのは6時近かったと思います。こうして、のり平さんが録音ブースにいらっしゃったので、私が小林さんに「のり平さんは、さすがに座談の名手ですね。いつもあんなに面白い話をしてくださるんですか?」と言うと、小林さんは「うん、いつもあんな面白い話をしてくれますよ。何度もね」と笑いました。鳥居さんは「今日の話は、僕は5~6回聞いているかな。小林さんは10回ぐらいかな」とニヤニヤ。

それが、どんな話かはまた次回にお話しますね。

※本インタビューは、2004年3月16日に収録したものです。